タルトタタンの製法とりんごの見極め方。秋の季節のショートケーキ。
9月初旬から始まる栗の収穫が終わりを迎える頃、中手のりんごや洋梨がピークを迎えつつあります。
それは同時にハロウィンシーズンと重なるわけですが、芋栗南京とは違った魅力を醸す、果実の味わいを感じ取っていただければ。との思いで店頭に並べるのです。
こと、洋梨に関しては追熟が必要なので、提供にばらつきが出たりするのですがご容赦ください。
タルトタタン
その名前、製法は広く知られていて、フライパンにグラニュー糖、くし切りしたりんごを並べてじっくり火にかけながらキャラメル状まで煮詰める。パイ生地を被せ、ひっくり返してサーブする。というのが一般的ですが、概ねこの製法に則った製法で提供する、ペルシュスタイルのタルトタタンをじっくりと解説します。
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りんご由来の伝統菓子、タルトタタンを科学する
紅玉りんごの調理
最初にキャラメルを仕込みます。
水を加えずにグラニュー糖を焦がしていき、加塩バターを加えてよく混ぜながら、塩キャラメルバターに仕上げていきます。
ここで使用するのは紅玉りんご。理由は後ほど述べますが、皮を剥いて芯を取り除いた、くし切りのりんごはあらかじめ冷凍します。仕込みのタイミングに合わせて解凍してから使うのですが、意図的に冷凍することで、りんごの繊維が壊れるのです。同時にりんごの水分が出てきて、離水状態になるのですが、これによって厚みを持たせてカットしたりんごでも、中心までキチンと火が通るのです。
りんごの水分とキャラメルバターを合わせてなじませていきます。
キャラメルに水分を合わせると固化しようとするので少しづつ。りんごの果肉も順に加えていきます。
時折りんごが煮崩れないよう、注意しながらかき混ぜ、水分を飛ばしていきます。
煮汁が概ねなくなってきたら、レモン果汁を加えます。
りんごはフルーツの中でいちばんたくさんのペクチンを含んでいます。ペクチンは水分と酸、砂糖、熱に反応して、ゼリー化する性質があるのです。
リンゴの味と食感の要素には硬度、糖度と酸度があります。
煮崩れない硬度、りんご独自の酸味はこのお菓子をつくる上で最も重要な「目利き」が求められるのかもしれませんね。
りんごに含まれるペクチン質に、レモンの酸を加えることで、伝統的なタルトタタンは鍋のカタチを保ったまま綺麗な状態で保形されているわけです。
植物由来の凝固剤、ペクチン。タルトタタンを通じてその活用法も垣間見えるのではないのでしょうか?
水分が飛ぶと同時に、キャラメルバターの旨味がりんごに行き渡ります。
粗熱が取れたりんごは、型に隙間なく並べていき、180度のオーブンで焼き上げます。
オーブンで加熱することで、より旨味をぎゅっと濃縮させることができます。
熱で押されて持ち上がったところで焼き上がり。
キャラメリゼしたフィユタージュは、個別にオーブンで焼成。カスタードクリームを絞り出して、型から外したりんごを乗せて仕上げます。
角切りしたりんごのポワレ、クレームシャンティなどで仕上げて完成。
紅玉らしい、りんごの酸味はもちろん、とろりとしたりんごの舌触りもお楽しみくださいね!
りんごのお菓子といえば、アップルパイ。ペルシュ流のこだわりがご覧いただけます。こちらから
晩秋の味覚の洋梨使用のショートケーキ
栗と洋梨のショートケーキ
トロリと完熟した洋梨と、低糖度マロングラッセをサンドした季節のショートケーキ。
マロンクリームに、泡立てたホイップクリームを加えて馴染ませながら栗の風味のホイップクリームに仕上げていきます。
マロンホイップクリーム、マロンブロークン、洋梨。
インパクトのあるあじわいではないので、サンドの量を増やしてその存在感をキチンと表現します。
食欲の秋、ボリューム感のある大きめなケーキに仕上げていきます。
絞り用マロンクリームは、無糖の栗ペーストをセレクト。
甘みを抑えて、栗の味わいを強化するマロンクリーム。カスタードクリームを加えてクリームの安定性を保持させます。糖度が低いと、固形分の分離が起こるリスクが生じます。
口金で細く、アラベスクをデザインするように絞り出します。
基本のスポンジ生地の食感と美味しさが、ペルシュのお菓子の土台となっています。
そこに季節のものを組み合わせる、秋のショートケーキはそのおおきさよりもホントに容易く、ペロリと食べれてしまう美味しさなのです。期間限定での提供ですので、お早めにどうぞ!
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