信州くるみとイタリアンドルチェのジャンドゥーヤを組み合わせた新しいガトーショコラの完成です
トラディッショナルな焼き菓子のひとつ、ケークエコセをヒントに、全く新しいお菓子を企画。
今回このお菓子の構想から完成に至った背景には、つくりたて生アイスの店、ふるフルさまでいただいた、「はしばみがさね」のおいしさに感動したことに由来しています。
ヘーゼルナッツペーストとチョコレートを合わせて作るジャンドゥーヤを、くるみに置き換えて、手作りで仕上げたジャンドゥーヤをパウンド生地に練り込み仕込むことで、くるみ餅のような舌触り豊かな味わいに憧れを抱きながら焼き上げました。
試行錯誤もあったのですが、ようやく納得がいくところまで行ったのでここで発表します。
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ジャンドゥーヤとはどんなお菓子?
ジャンドゥーヤは、ローストしたヘーゼルナッツとチョコレートを練りこんだ、イタリア生まれのチョコレート。
ペルシュではジャンドゥーヤをサンドした、コキーユが根強いファンの方々の支持を受け、通年販売しているアイテムとして並んでいます。
今回、秋冬のコレクションを展開していくにあたり、ジャンドゥーヤのおいしさをダイレクトに味わっていただけるようなプレゼンテーションを模索している最中に、ひとつのひらめきを具現化したものです。 コキーユについての説明はペルシュブログで紹介しています。こちらから
それは素材そのものを深く見据えていく中で、ナッツのロースト加減、組み合わせるチョコレート、加える砂糖の量など、本当に数ある組み合わせの中で、自分自身がこれだと思うものをカタチにしたものです。
イメージは、和菓子のくるみ餅。あの味わいはある種鮮度がかなり要求されるものだと思います。くるみの火入れ加減を誤ると、エグミや苦味が出たり、酸化(劣化)も早い、扱いの難しい素材です。
クルミの加工について
クルミのローストは慎重さを要求されます。余談ですが、ヘーゼルナッツも同様なのですが、焼き加減を間違えると前述のようにエグミを強く感じてしまう厄介なものです。
クルミに火入れするときは、茹でるプロセスも選択肢でしょう。中新部分に火が通るのも早いので、ローストの場合焦げ付きも早くなります。
ただし、その豊かな油分もクルミの持ち味なので、リッチな味わいを最大限引き出そうと思うと、茹でる工程は油分を流出させてしまうことでもあるのです。
ペルシュではスチームオーブンを用いて、100度程度でローストします。蒸気の圧力も使い、酸化をさせないように火を通します。
スチームオーブンがなければ、蒸すことも有効な手段かもしれませんね。
フードプロセッサーでクルミパウダーを準備する
他の種子系よりも柔らかいクルミ。粉糖をブレンドしてミキシングしすぎにならないように注意深くパウダー状に仕上げます。少し灰褐色ですが、信州産のくるみを用いて仕上げているからです。甘みのある信州産は、価格も高価ですが、味わいにも歴然とした差があるので特選素材として少量ずつ挽いて使用します。劣化の早い素材なので空気が触れないように冷蔵保存して早く使います。
右側のくるみがアメリカ産のもの。薄皮の状態でもすでに違いは歴然です。
クルミのジャンドゥーヤ
ローストしたクルミをフードプロセッサーにかけて、ペースト状になるまでミキシングします。
ペーストにミキシングする場合も、必要以上に混ぜ合わせると摩擦熱によりクルミが酸化を引き起こします。本当にデリケートな素材と言えるでしょう。
ハイミルクのミルクチョコレートを溶かして、クルミペーストと良く混ぜ合わせてからテンパリングの作業を行います。
流動的なナッツの油分を固めるために、カカオバターを追油します。サラダ油に代表されるように、植物性油脂のほとんどは固まりません。例外的に例えるならば、パーム油、ココナッツオイルなどが該当します。
クルミの旨味を引き出すために、多少の糖分を加える方が旨味が存分に味わえるようです。ここでは粉糖を加えます。焼き菓子で良く使われるコーンスターチを含まない、純粉糖をセレクト。パウダー状に精製された粉糖の方が粒子のあるグラニュー糖に比べて、ペーストと馴染みやすいからです。
ジャンドゥーヤのテンパリングは、加えるチョコレートに応じて行います。ここではミルクチョコレートを合わせたので、ミルクチョコレートの温度帯に合わせて作業します。使用せずに保存する場合も、テンパリングの作業は必須です。
後ほど登場しますが、ホワイトチョコレートタイプのジャンドゥーヤも準備します。ホワイトチョコレートはどうしても甘みが強く感じるため、キャラメリーゼしたくるみのプラリネベースと混ぜ合わせて仕上げます。キャラメリーゼしたプラリネベースのジャンドゥーヤは他の焼き菓子でも事例ありです。詳細はこちらから
ジャンドゥーヤを練り込むガトーショコラの焼成
くるみのケイクショコラの仕込みでは、通常のシュガーバッター方式で生地を仕込んでいきます。
発酵バターとグラニュー糖をゆっくりとすり合わせ、卵液、あらかじめ溶かしておいたくるみのジャンドゥーヤを順に加えて混ぜ合わせていきます。
ふるっておいたアーモンドパウダー、薄力粉を一度に加えて混ぜ合わせたら生地は完成です。
メレンゲカカオは、泡立てたメレンゲに、くるみパウダー、グラニュー糖、ココアパウダーを合わせておいたものを合わせて準備します。
メレンゲの気泡を潰さないように、注意深く混ぜ合わせます。
ビスキュイダックワーズのように粉糖ではなくグラニュー糖を用いることで、焼成した時の砂糖に含まれる水分が膨張し、時間をかけて焼成するパウンドケーキと一緒に焼いても熱耐性が強くなるのです。
生地の焼成と仕上げ
出来上がったパウンド生地を型に分割します。
ダイス状にカットしたジャンドゥーヤ、くるみのクリスタリゼをランダムに散りばめます。(くるみのクリスタリゼについてはこちらから)
メレンゲ生地を絞り出します。
刻んだくるみを散らし、粉糖を2回に分けて振り掛け、170度のオーブンで45分程度かけて焼きあげれば完成です。
断面図で見て取れるのが、カカオメレンゲとパウンド生地の綺麗なコントラストです。
ジャンドゥーヤは大きめの状態で生地に埋めることで焼成中の熱にも耐えることができ、焼け残りしてくれます。
くるみのクリスタリゼも砂糖が適度にキャラメリーゼされたような状態で仕上がります。
カカオマスのヘビーな味わいを取り除き、ナッツの油分のコクをブレンドしたことでまた違った味わい、口どけを生み出すことができました!
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