チョコレートのペアリングをプリンで表現する試みと原料としての支援への取り組みについて。
ペルー産カカオの風味を活かす。
ここ数年で、料理の世界でも製菓の世界でもペアリングに対しての認識も高まり、広く浸透してきたように感じます。
特に顕著なのが、お料理とお酒(特にワイン)のベストマッチを提案していくサーブスタイル。お菓子の場合、チョコレートとそれに合った副素材を合わせるスタイリングです。
今回の晩秋に向けての新しいお菓子作りのインスピレーションでは、スイーツとして最も馴染み深いもののひとつ、プリンを題材に考案してみました。
チョコレートの味わいを表現するときに代表的に用いられる、赤い果実(主にベリー類を指す)、黄色い果実(マンゴーやバナナなどのエキゾティックフルーツ)とのペアリングに着目してのプレゼンテーションです。
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チョコレートプリンの仕込み
近年では全卵がベースのカスタードプリンよりも、卵黄主体のなめらかプリンが主流ではないでしょうか?
ここで紹介するものも、卵黄、グラニュー糖をすり合わせて、牛乳と生クリームを加えたものに、溶かしたチョコレートを混ぜ合わせていくスタイルのなめらかプリンスタイルです。
カカオマス(カカオの固形分)が焼成中にグラスの底に沈まないようにするために、乳化のプロセスは必須です。プリン液には卵黄のレシチンが含まれるので、しっかりと、かつ容易に乳化状態へと導くことができます。
そしてもうひとつ大切なのが温度。今回はブラックチョコレートを使用しているので、概ね55度の温度帯で混ぜ終えるのが望ましいです。プリンを焼成する際に、できるだけ早く全体に火を通すために必要な条件です。時間をかけて焼くと、プリンが硬くなってしまう場合があります。
ベリーミックスのコンポート
コンフィチュールよりも低糖度で、果実味を楽しむにも申し分ないフルーツソース。一般的なベリー類、いちご、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリーをバランスよく配合し、グラニュー糖とペクチン、レモン果汁を加えて軽く煮詰めて使用します。
バナナのキャラメルソテー
グラニュー糖を焦がし、バターを加えて馴染ませたら、レモン汁でマリネした完熟バナナを加えて軽く煮詰めます。
火が通ったら、パッションフルーツ果汁で風味を整えます。
ホイップクリームは、すくうと垂れてしまうくらいのゆるい状態のものを絞り出します。全体的に柔らかくクリーミーな食感に仕上げたいからです。
食べ進めていくと、最後に感じるのは単一品種カカオの香りとその味わい。加熱の威力で引き出された、ラム酒にも似た芳香でふくよかな広がりを見せる、カカオの豊かな味わいは、まさしくカカオ豆の持つその豊かな表情そのものです。食べ合わせで(ペアリングで)味わいにも違いが感じられるのも面白いと思います。ぜひ両方、お試しいただき、その違いと驚きを体験してみてください。
チョコまるプリン。ころんとした愛らしいフォルムを連想してネーミングしました。もちろん、そのおいしさにも◯をつけてあげています!
農業、畜産業の恩恵を考える
カカオ生産者とチョコレートを愛する消費者の未来のために、高品質のカカオ豆の長期的な安定供給。
原料として、実に多彩な一次産業による恩恵を受けている、製菓業界。砂糖の原料となる、さとうきび。小麦粉。それらが多岐にわたりすぎるので割愛しますが、生産者が減少を辿り、原料供給が乏しくなっていくのは大きな問題です。
未来につながるチョコレート。購入が直接生産者に向けての支援につながるチョコレートタブレット。コートジボワールカカオ豆を用いたチョコレートですが、今後、ペルシュで永く販売を続けている割りチョコダーク&ミルクもこのチョコレートを使用していこうと思います。それは誰かが取り組むであろう、対岸の火事を眺めるような傍観ではなんの意味も成さないからです。最終製品としてのチョコレートのおいしさには何ひとつ文句なし。変わらないおいしさを提供し続ける責務として取り組んでいきたいものです。
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