チョコレートのパリブレストはいちごとルビーチョコレートを組み合わせた新作

見た目にアッと華やぐスイーツを作ってはくれませんか?

とある雑誌誌面の企画に応えるカタチで制作に取り掛かった今回の作品。自分の中ではどこかしらトラディッショナルな装いに仕上げたくて、ある程度わかりやすい構成は意識しながら完成に至ったシューが主役のパリブレスト。

新作、特にケーキを作る際、最近の傾向としては少し地味な印象のお菓子が多かったように思います。
それは奇抜なデザインやフォルムと言う意味でもなく、色合いにおいても素材の印象そのままだったり、脈絡のないものは仕上げから排除したり、美味しさの追求の二の次になっていた、ビジュアルとしての、見る楽しみから少し遠ざかっていたように感じます。

シュークリームという、少し無骨でいびつだけど、何が隠れているのだろう?この中には何が詰まっているの?? そんなワクワクが潜んでいる、目を引く新作は意外にもとある編集者様からのお誘いのひとことから始まったのです。

販売当初の予定では、ホワイトチョコレートのホイップクリームを組み合わせる予定でしたが、世間での関心も高い第4のチョコレート、ルビーチョコレートを構成の中に取り入れることにしました。

その結果として、チョコレートによりフルーティさが味わいの中に加わり、色合いにもルビー色が加わることで、より刺激的なビジュアルに。
ネーミング自体、パリブレストショコラ(homme)と、仮称していただけあり、男性らしさをモチーフにしたスペードのロゴをあしらいました。このスペードの色味こそがルビーチョコレートなのです。

それでは伝統的、あまりにも有名なパリブレストを再構築してモダンに仕上がった、パリブレストショコラを紐解いていきます。

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チョコレートシューの仕込みとクリームの製法まで

 

シューショコラの生地の仕込み

シュー生地の仕込みは、水と牛乳、塩とバターをすべて鍋に入れて火にかけ、噴き上がるまでしっかりと沸騰させます。

合わせてふるっておいた薄力粉と強力粉、ココアパウダーを一気に加えて、手早く力強く混ぜ合わせます。

ここで重要なのが、小麦粉にきちんと火を通すこと。アルファ化させることで、膨張率の良い生地の膨らみを促すのです。

ビーターをセットしたミキサーにかけて、粗熱が取れたら手早く卵を加えていき、なめらかな状態になるように仕上げます。
加える卵の量は都度微妙に変化することもしばしば。粉の火入れ加減で当然水分の蒸発率が変わるからです。

生地は2種類のカタチに絞り分けます。

土台になる、「パリブレスト」の車輪部分はリング状に。二重にして生地の厚みをつけていきます。
トップに飾るプティシューにはシュトロイゼルカカオを薄く伸ばしたものを貼り付け、クッキーシューと呼ばれるビジュアルに仕上げるのです。

ルビーチョコレートのホイップクリーム

今話題の、第4のチョコレートルビーチョコレート。ミルクチョコレートに似た臭気、酸味のニュアンス。フレーバーにもベリー類、特にラズベリーのトーンをはっきりと感じさせてくれます。
味わいの捉え方は人それぞれだとは思いますが、その味わいをシンプルにシャンティショコラに仕上げました。

溶かしたルビーチョコレートに熱した牛乳を加え、ガナッシュにしたところに冷たい液状の生クリームを注ぎ入れて一晩寝かせてから使用します。

プラリネアマンドのクレームパティシエール

通常の工程でカスタードクリームを炊き、ゼラチンを加えて溶かします。

キャラメリーゼしてペースト状に挽いたアーモンドプラリネ、細かく刻んでおいた無塩バターをなめらかに混ぜ合わせます。

カスタードクリームをアングレーズに例えると、プラリネとバターはカスタードクリームの倍量ほど配合されます。アーモンドに含まれる油分、バターの油分、それぞれをなめらかにつなげ、乳化状態に仕上げていくのはとても重要な工程です。トラディッショナルなパリブレストのニュアンスをどこかに忍ばせたく、かつ重たすぎないクリームを仕上げるために、パリブレストのルセットで用いられるクレームオブールプラリネを少し軽やかに仕上げたのです。

少しリッチな油分はゼラチンでホールドしているので、ゼラチンのゲル化を促すために、冷却してから使用します。

チョコレートのクレームパティシエール

いちごとの相乗効果で、そのポテンシャルが何倍にも広がるサントメプリンシパルカカオ、kaoka社のブラックチョコレートを使用します。
過去にはルビーポートワインとサントメカカオのタルトショコラでその組み合わせの可能性を表現しました。その詳細もぜひご覧ください。こちらから

カスタードクリームと溶かしたチョコレートをムラなく混ぜ合わせるだけのシンプルな工程。
カスタードクリームは、製法の中できちんとアルファ化しているので、他の素材と混ぜることは非常に容易であることを付け加えておきます。

パリブレストショコラの組み立て

焼き上げたリングシューは、テンパリングしたブラックチョコレートをつけてから横半分に切り、底部分にカスタードクリームを絞り出します。
いちごを並べた隙間に、泡立てたルビーチョコレートのシャンティをビロード状に絞り出し、チョコレートを塗った方のシューで蓋をします。

プティシューにはプラリネのカスタードを詰めます。

プラリネクリームには、ビーターを使って空気を含ませてから使用します。泡立てバターなので、クリームが白っぽくなるまで泡立てて使用します。

パリブレストを組み上げた、シューのくぼみにすっぽりとプティシューを収めます。
それぞれのクリームの量のバランスは、このお菓子の印象を大きく左右するとても大切な構成要素です。当然、いちごをペアリングさせる2種類のチョコレートクリームはもとより、現代としては少々ヘヴィな印象のプラリネバタークリームならぬ、プラリネカスタードクリームも同様です。

 

全体の味わいはいちごとチョコレートの酸味がうまくまとまり、ほんのり塩気のあるアーモンドプラリネの味わいがバランスよくまとまっていると思います。週末のみの販売ですのでご理解のほどよろしくお願いします。

シュー生地の製法はペルシュの動画サイトでもご覧いただけます。

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