セミノール、タンゴール、国産柑橘が美味しい季節のヴェリーヌの完成です
国産、日本で栽培されている果実は、本当に生食において右に出るものが絶対ないんじゃないかと思います。
りんご、いちごなどは正にいい例ですね。
そして、柑橘類に関しても蜜柑が代表されるように、海外でも高く評価されたり、また多種多様の品種改良を重ねて実に素晴らしい品種が出回っています。
ただこれらは旬の時期も1ヶ月から2ヶ月の期間と短く、なかなか販売期間が長いわけでもないせいか、その良さを実感してもらえる機会に恵まれていないのが実情ではないでしょうか?
それこそみかんのように皮を手で剥いたりする気軽な感じではなかったり、単価の張るものもあったり、手の出しにくい雰囲気もあるかもしれません。
そんな中、出来る限りそれらの美味しさを知ってもらえたら嬉しい、そんな思いを込めて制作したのが今回紹介するグラスデザート。
せとか、麗紅、清見オレンジ。聞いたことのあるものもないものも、もし気になるものがあればぜひ個別にお調べいただくきっかけにもなれたらいいな。なんていう風にも思っています。
ヴェリーヌドゥアグリュム”Kawaii”は、コロンとした球体のフォルムを閉じ込めた、グラスデザートスタイル、ヴェリーヌで提供する国産柑橘が一番の最盛期を迎えている早春だからこそできる組み合わせの「尽くし」に溢れた味わいなのです!
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国産柑橘を用いて季節感を感じさせるグラスデザートを組み立てる
コンフィチュールの製造をベースに、、コンポートを仕込みます。
麗紅の皮を剥き、果肉と果汁を分けたら、ジャスミン茶葉を加えて一煮立ちさせたら蓋をして香り立たせます。
茶葉が十分に開いたら裏ごして、レモンジュース、グラニュー糖とペクチンを混ぜた物を加えてかき混ぜながら煮立たせます。
ペクチンの使用について
一般的にジャムの凝固剤として認知されているイメージの強いペクチンですが、そのせいか多量のお砂糖を加えないと凝固の効果が発揮されないようなイメージがあるようです。
糖度が高い、イコール粘性があるものを効率よく固めることができるものはペクチンで、寒天やゼラチンではうまく凝固させることができないのです。
ただし、ここでペクチンを使う理由として、ゼラチンのようなぷりんとした食感ではなく、少しとろりとしたソース状に固めたいからです。
なお、ペクチンは加熱と、フルーツに含まれる酸に対して反応してくれます。ここでは関係ないですが、乳製品に含まれるカルシウムとも相性が良いようです。
鍋の縁に付く果汁にとろみが出てきたら、水でふやかしたゼラチンと果肉を加えて、再度煮立つまで静かに混ぜます。
氷水でしっかりと冷やしてからグラスに充填して冷凍保存します。
クレムーオランジュの製造
トラディッショナルなレモンカードの製法に法り、バターを加えて仕上げるリッチなフルーツカスタードクリームです。
レモンカードの固まる原理として、卵白とレモンに含まれる酸の影響によって卵白が凝固を起こす抗酸作用。ただそれだけでは分離状態になるのでバターの油分を加えて乳化させることでなめらかなクリーム状に整えるということです。
オレンジのフルーツクリームと表記しましたが、使用するのはせとかジュース。あらかじめ削っておいた果皮と一緒に温めておき、5分ほど置いておくことでより強い香りを得ることができます。
全卵、卵黄、グラニュー糖をすり合わせておいたところに熱したジュースを加えて卵が凝固する温度帯までかき混ぜながら直火で熱していきます。
炊きあがったら直ぐにオレンジコニャックを加えてアルコール分を飛ばし、裏ごします。
オレンジにはレモンのような強い酸は含まれないので、ゼラチンを加えて凝固力をつけます。
フルーツクリームの中にバターが完全に溶けてしまわないように、温度には注意を払います。
バターの融点ギリギリの温度になるよう、最終温度を28度に調整します。スティックミキサーを用いて作業することで乳化作業も容易になります。
オレンジのシブーストクリーム
ここでもせとかジュースを用いたクレームシブーストを作ります。
果皮とジュースの香りづけは同様に、卵黄、グラニュー糖、プードルフランをすり合わせたら、裏ごしてカスタードクリームのように炊き上げていきます。
プードルフランの影響により、小麦粉とは違った固化をするので、一概にシブーストクリームでも同等の仕上がりにならないほど、多種多様なレシピが存在しているのも事実。
ペルシュでも四季に応じて多数のシブーストを発表しています。シブーストについてまとめた一覧記事へはこちらから
プードルフランについてはチョコレートシブーストでその詳細について触れています。こちらから。
カスタードクリームにはイタリアンメレンゲをざっくりと合わせてから、
低脂肪ホイップクリームを合わせて仕上げるムーススタイルで。
冷やし固めておいたクレームオランジュの上に絞り出して、再度冷凍します。
ピスタチオのサブレクランブル
ピスタチオパウダー、カソナード、小麦粉と冷たいバターをビーターでひとまとまりになるまで合わせてから、目の荒い篩で漉して焼き上げるサブレクランブル。
こんがりと焼き上げたら、ホワイトチョコレートで湿気り防止を施しておいてから使用します。
テンパリングしたミルクチョコレートで水分移行を防止したビスキュイダクワをソースマンダリン麗紅にセットし、サブレクランブルを散りばめたところに球状に絞り出した2種類のオレンジクリームで仕上げたクリーム、チョコレートディスクで仕上げます。
ジューシーな柑橘のイメージを損なわない様に注意を払って構成したヴェリーヌです。各パーツの口どけにも明確な時間差をつけることで、オランジュリーなフレーバーを長く感じてもらえる工夫を凝らした一品に仕上げました。
季節のフルーツショートケーキとして、清見オレンジマーマレードをスポインジに塗り広げ、せとか果肉をキャラメルミルク風味のホイップクリームでサンドしたショートケーキも店頭販売しております。
仕上げには紅甘夏、オレンジジュレ、せとかを用いておりますが、季節に応じてカラマンダリン、清見オレンジ、ニューサマーオレンジなどを順次使用していく予定ですのでお楽しみに!
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