マジパンの製法と活用をひとつに凝縮したアーモンドのケーキ

ソメイヨシノの開花に続いて、サクラ科のお花も数多く開花しますが、アーモンドのお花も同じサクラ科というのはご存知でしょうか?
そして、さくらの後にはさくらんぼの結実。ここにアーモンドを組み合わせてみたい、それは同じ科目どうしの相性の良さを証明してみたいという願望でもあったのです。
さくらの香り、さくらんぼの酸味といちごのほのかな甘みにも手伝ってもらって、完成に至ったルビーキューブは、密かに古典菓子でもある、パンドジェンヌ、およびヨーロッパではもっともポピュラーな、切っても切り離せない、和菓子のあんこ同様の食材である、ローマジパンを使うことが欠かせません。
ベースとなる材料なので、きちんと自家製で仕込むペルシュの取り組み、姿勢も踏まえて、今回の新作を紹介したいと思います。

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自家製で仕込むマジパンローマッセ。

そもそもローマジパンって何のこと? 手づくりケーキをいろいろ楽しんでいると、新しいものにチャレンジしたくなりますね。そして必ずと言っていいほど登場するのが、マジパン、マジパンローマッセ。
製法、そしてその使用用途について多少詳しく触れていきます。

 

 

アーモンドは皮むきしたマルコナ種をホールの状態で、油分が滲んだり、酸化していない状態の物を使用します。これをグラニュー糖と一緒にパウダー状になるまで挽きます。グラニュー糖の量を調整することで、甘みとアーモンドの風味を自在に調整できるのです。

熱した水飴ベースのシロップを加えて、加熱しながら撹拌し続けます。アーモンドに対して40%の砂糖を加えたマジパンは、もちろん好みの糖度に仕上げて仕込むオリジナル。シロップと一緒に80度までペーストを加熱しながらゆっくり攪拌して、アーモンドのメイラード反応をしっかり促し、旨味と香気を引き立たせるのです。オーブンでローストする時の香ばしさとも違い、パウダー状の生のまま生地に練りこんで焼き上げるそれともまた違った美味しさを引き出せるのがローマジパンの一番の魅力です。

ローマジパンを使う利点は、加熱処理を行うことでアーモンドの旨味を引き出したペーストになるという風に思ってください。和菓子では不可欠な、餡。小豆にお砂糖を加えてじっくり煮込んでその美味しさを引き出す技法と酷似するのではないでしょうか?

アーモンドの持つ豊かな油分を含んだペーストは、焼き菓子を焼き上げた後もしっとり感が続き、あらかじめアーモンドを加熱してあるため、その美味しさが全体に広がるのです。熟成させるとより風味が広がるのがマジパンの最大の利点。薄く焼き上げるビスキュイでもシロップを打たずともしっとりした状態が続きます。

今回はマジパンを使って古典焼き菓子のパンドジェンヌをシート状にアレンジしたビスキュイを焼成します。

柔らかくしたマジパンに玉子を少しづつ加えて、ダマにならないようにミキシング。

全て入れ終わった状態。このまま泡立てていきます。
(画像はステアリングミキサーの場合。普通のコートミキサーであれば、ビーターを使ってマジパンをなじませてからホイッパーに切り替えて泡立てます)

リボン状に泡立った状態。マジパンもバターと同様、空気を抱きかかえながら泡立つ性質があるようです。そしてローマッセの甘みのみで、砂糖を追加することもないので、糖度も控えめな生地を焼き上げることが可能です。
十分に泡立ったら、ふるっておいた少量の小麦粉とベーキングパウダー、溶かしバターの順に加えて、190度のオーブンに入れて焼き上げます。

いちごとチェリー、アーモンドをひとつにまとめたケーキを仕上げる

さくらの花と同じ香り成分、クマリンを含んだトンカビーンを細かく刻んで熱した生クリームの中に加えてその香りを抽出します。トンカビーンを用いたお菓子の詳細をご覧いただけます。こちらから。

30分ほどかけて香りを移したクリームを裏ごしながら、溶かしておいたホワイトチョコレートとカカオバターのミックスに注ぎ入れて混ぜ合わせます。
生クリームは再加熱せずに、チョコレートの乳化温度を下回らないように注意しながら作業するのです。

柔らかくしておいたローマジパンを少量づつガナッシュに加えて、都度なめらかにしていきます。
この時も、加熱したことでアーモンドの味わいが引き出されたペーストを加えることで、今回はマルコナ種のビター感が楽しめます。例えばバレンシア種アーモンドのローマッセであれば甘みの広がる味わいが得られることと思います。

ただし、注意したいのが油分を足していきながらガナッシュを仕上げていくので、目に見えない部分での分離が進行すること。混ぜ過ぎには注意が必要です。

一晩休ませたガナッシュ。ミキサーにかけてゆっくりと泡立て、サンド用クリームにします。

ビスキュイパンドジェンヌ、チョコレートホイップ、真ん中にはいちごとグリオットチェリー、水あめ、ペクチンで低糖度に炊いたコンフィをサンドします。

サンドしたパンドジェンヌは、冷やし固めてから長方形に切り分け、ストロベリーチョコとサブレフレークを混ぜたミックスを左右にコーティング。
さらに切り分け、両端を再度コーティングして完成。

アーモンドの丸みとさくらの香り、酸味を帯びた赤い果実のコンフィの調和をお楽しみいただければと思います。

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