2021年ペルシュのクリスマスケーキモカフレーバー、福井西武限定版の紹介です。

今年、初めてクリスマスケーキを自店以外で提供することとなりました。
福井西武さんからのオファーを受け、店頭では味わえない特別な商品を作ろうという気概で臨みました。
新聞記事でも度々取り上げられていてご存知の方も多いかもしれませんが、グリフィス氏の記述をヒントに構成してみました。以下に詳細を書き記しましたので、ご一読いただければと思います。

福井西武限定のクリスマスケーキ

日本で初めて、一般の日本人を招いてクリスマスパーティーを開いた人物をご存じだろうか。福井藩が招いた米国人教師ウィリアム・エリオット・グリフィスこそ、その人物だと語る。「世界中の人々に新興国日本の実像を伝えた功労者だった」として、顕彰の機運の高まりに期待を込めた。

「信徒による宗教行事や外国人同士の私的なクリスマスパーティーはあっても、信徒以外の日本人を招いての公的なパーティーはグリフィスが七一年に開催したのが日本で初めてではないか」と推察する。

「米国のクリスマスについて詳しく話し、靴下、ここでは足袋をつるすように言った。少年たちは松と栂(つが)を切り、みかん、おもちゃ、食べ物、新しい足袋などを持ってきて、食堂の壁や暖炉をいろんな色の装飾品、緑の枝などで飾り、足袋をつるした」
夜皆が寝静まってから、グリフィスはサンタクロースを演じた。つるされた足袋に角砂糖、ドロップ、干しぶどう、筆記用具、鉛筆、写真、ジャムの小瓶、小銭などを入れていった。翌日、少年たちは足袋の中身を見て大はしゃぎだったと記されている。

福井県が民間で初めてクリスマスを体験した場所である。
こんなに気持ちが高ぶる事に自分自身喫驚でした。

グリフィスは当時誰も飲んだことがなかったというココアとコーヒーを用意して歓待。手紙でグリフィスは「イエスの名が藩の高札で冒涜(ぼうとく)、禁止される一方で、イエスをたたえる祭りが行われるとは実に奇妙であった」と述懐している。

ココア、コーヒーというキーワードに加え、味わったことのない、新しい組み合わせの喫驚。当時の我々日本人が味わったであろう感覚を再度植え付けたい!
そんな欲求を具現化すること。
文献をなぞると、おそらく見え隠れする日本文化の地味さ(普段の生活の質素さ)だと思います。

レッドエンペラー red emperor 15cm 5号サイズ

当時の見た目の少し大人しめの印象とはかけ離れた、印象深いカラーリングを真っ先に取り入れたい。この深紅のビジュアルも意外性や印象的であることを大前提に考案しています。

ただ、何においてもケーキの場合は特にその色合いから大まかなフレーバーを連想する。という傾向は必ずあります。
コーヒー、ココア。いま現代ではすっかり定番の組み合わせですが、ここに赤い素材を組み合わせる。。。

酸味のあるベリーミックス(いちご、ラズベリー、グリオットチェリー)をフルーツクリームというテクスチャとして組み合わせました。
ちょっと酸味のあるコンポート。フレッシュバターを加えたフルーツカスタードクリームとブレンドして、ベリーの持つ美味しさのバランスを両立して引き出しました。

コーヒー豆に求めたのは、同様にフレッシュな香りと、酸味を感じさせる軽めの焙煎で仕上がっていること。中米ニカラグアのビーンを珈琲マイスターさまにムリを言って特別に挽いていただきました。
生クリームに漬け込み、その香りを引き立たせ、ムースショコラのホイップクリームとして用いています。

チョコレート、カカオにも当然「酸味」のポテンシャルが必須です。
南米、ペルーの指定農園で栽培された豆で作られたチョコレートをセレクト。
酸味とは、ワインで例えられる「酸」、つまりミネラルです。すっかり定着したペアリングを語る上で欠かせないフレーバーを表現する際、特に白ワインでは重要なキーワードとなります。

ケーキでの味わいとして、酸味といえばレモンなどの酸っぱいが代表されますが、コーヒーやチョコレートの持つ発酵由来の酸味もそれに当てはまります。二層のチョコレートスポンジ、コーヒーの風味を纏ったチョコレートクランブルを土台に、全体の調和を上手く取りながらも酸味の心地よさが印象として残る新作に仕上がったように自負しております。
新しい試みには新しい刺激も必要で、今回グリフィス氏の残された功績というストーリーに沿って全体の構成を組み立ててみたコンセプトスイーツです。
ぜひ自分の思い描く懐古的発見と同時に、当時のグリフィス氏が抱いたであろう、ノスタルジアを一緒に共有できればと思っております。

念のためですが、福井西武さまでのお取り扱いとなりますのでその旨ご容赦ください。

 


季節限定をクリスマスに味わえるチャンス!

ホワイトナイトチョコレートモカ 12cm 4号サイズ

珈琲焙煎士がローストした豆をふんだんに用いて抽出した生クリームとホワイトチョコレートを組み合わせたホワイトチョコレートモカクリーム。厚く伸ばしたサブレの食感、モカのブリュレ。クリーミーでは終わらない美味しいの多重奏です。
父の日限定で毎年提供してきた、カフェアンタンスがベースです。少し濃厚な味わいとして楽しめるようにアップデートしています。

これから食べてみたいと思っている方も、オキニで既に推しの方にも改めて、その製法の詳細をご紹介しますね!

土台部分にはザクザク食感のパートサブレを。フランス産小麦を国内加工した、ニップンエクリチュールを使用しました。アーモンドプードルも配合したリッチなあじわい。
15mmと厚めに延して、キューブ状にカットして、画像のようにしっかりと内部まで焼き色が付くまで焼成します。

テンパリングしたミルクチョコレートでサブレ全体をコーティングして、一粒づつ丁寧にバラして結晶化させておきます。

ホワイトチョコレートのムースアレジェ、モカ風味

チョコレートに合うコーヒー豆は、そのセレクトももちろん、焙煎についてもその道のプロフェッショナルにお任せしたものです。
当店のブレンドコーヒーも、今回のチョコモカに使用する豆も、カメイ珈琲店様に特別にローストしてもらっています。以下に店主様のコメントを記載します。

もともとグアテマラとブラジルのブレンドをナッツとココアのニュアンスから選んでいました。柔らかいワインやチョコレートのニュアンスがあるブラジルが手に入ったので、今回はそのブラジルとグアテマラでブレンドしています。ブラジルの豆は、生豆の香りをかいだ時点でチョコレートに合いそうだなと感じていました。少し深く焙煎するとココアパウダーのような苦味も残るため、チョコレートにピッタリだと思います。

豆は潰す、ではなく、割る程度の粗い状態に。「白い」チョコレートクリームにするために、生クリームにコーヒーの色合いが移るのは望ましくありません。
35度に温めた低脂肪生クリームを、砕いたコーヒー豆に注ぎ入れて、豆が浮き上がってこないように重しをして、冷蔵庫で一晩漬け込んでおきます。

クリーミーで程よいミルク感が広がるガナッシュショコラオレは、ハイミルクのミルクチョコレートとホワイトチョコのブレンド。バターは加えず、やわらかくとろけるような食感に仕上げて、チョコレートのフレーバーの印象を確固たるものにします。

コーヒーのフレーバーをより印象づけるクレームブリュレカフェとビスキュイダマンドカフェ。ガナッシュをセットしてチョコレートモカクリームのセンタークリームを構成します。

一晩漬け込んだコーヒー豆を、生クリームが自然と落下するよう時間をかけてゆっくりと裏ごします。
コーヒーの風味をまとった生クリームをホイップして準備します。

チョコレートと牛乳を合わせてガナッシュクリームに仕上げ、ホイップクリームと合わせる、軽い味わいが特徴のムースショコラアレジェの製法で進めます。柔らかな食感なので、牛乳にゼラチンを加えて溶かしておくのもこのレシピでは欠かせないオペレーションです。

ガナッシュは今回のホワイトチョコレートベースの場合、20度程度にまで冷却してから、ホイップクリームとふんわりと合わせていきます。

セルクルにモカクリーム、センタークリーム、サブレショコラを並べて冷やし固めます。

チョコモカの仕上げ

型抜きしたアントルメには、ホワイトチョコレートのグレーズを全体にコーティング。

断面図です。サブレの存在感さながら、このアントルメのインパクトを決定づける存在であることは間違いありません。しっかりとした噛みごたえがあるからこそ、クリーミーでなめらかなチョコモカのフレーバーが活きてくるのです。

チョコレートのスティックケーキ、モカのプラリーヌもデコレーションに添えて。コーヒー好きさんには絶対のオススメです!

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