ヘンゼルとグレーテルの黒い森をチョコレートに見立てて仕上げたショコラ
ヘンゼルとグレーテルの童話の舞台となったのは、暗い森の奥。物語の舞台となったドイツにある黒い森は実在の場所として知られ、針葉樹林が生い茂るエリアです。
黒い森=black forest、forêt-noire、など様々な直訳で親しまれているケーキでもありますが、本場ドイツではシュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ(ドイツ語: Schwarzwälder Kirschtorte)黒い森のサクランボ酒ケーキと呼ばれています。
ヘンゼルとグレーテルの物語を語る上で決して避けて通ることのできない、迷い込んだら帰ってくることのできない黒い森をプラリーヌで作製、表現しました。
スポンサーリンク
フォレノワールをガナッシュで表現する
ブラックチョコレートガナッシュの仕込みには、完熟チェリーのやわらかな酸味と発酵香をまとったペルー産カカオをコンチングした、MORIN社のものを使用します。ペルー産カカオといえば、ベリー系の酸味がトーンとして際立ちますが、今回のガナッシュに対する特選素材として採用の希少なショコラなのです。ノートエンドにはソフトなタンニンのノートが広がる、タブレットのまま食べることが最適。とも言えるショコラを使用します。
グルコース、トリモリンを加えたフレッシュクリーム、スイートなアロマのブルボンバニラを加えて沸騰させ、ラップをしてしっかりとバニラの香りをアンフュゼ(香りを抽出)したら、前述のブラックチョコレートに裏ごしながら注ぎ入れて、乳化させます。
チェリーの風味を印象づよくするために、イタリア産チェリーリキュールをガナッシュに加えます。
40度に調整したガナッシュと低水分バターを合わせて、再びしっかりと空気が入らないように混ぜ合わせます。準備しておいたカードルに流し入れて、じっくり一晩かけて結晶化させます。
ガナッシュピスターシュを仕込む
ピエモンテ産ピスタチオペースト、トリモリン、フレッシュクリ−ムを一緒によく混ぜながら火にかけ温めます。
ホワイトチョコレートとていねいに混ぜ合わせていき、乳化状態を。
ホワイトチョコレートに含まれる、カゼインが高温の状態だと焦げ付きやすいため、温度帯は45度程度をキープしつつ、油脂を豊富に含んだピスタチオペーストが加わるため、乳化作業を怠ると分離の原因、舌触りのザラつき、油っぽさを感じてしまいかねないリスクがあるためです。
乳化状態が確認できたところで、フォレノワールを象徴する要素のひとつ、キルシュを加えて、再びしっかりと混ぜ合わせます。
結晶化させておいたガナッシュスリーズの上に流し入れて、再び結晶化させます。
ギッターで切り分けたガナッシュに、ビガロー。フランス産のさくらんぼの砂糖漬けをセットしてスタンバイ。ガナッシュスリーズがトップに配置された、美しいビクーシュ(二層仕立)です。
キルシュとのペアリングとして組み合わせた、チェリーとピスタチオは、もっぱらペルシュ独自スタイルのフォレノワールですが、当然ブラックチョコレートのセレクトで如何様にも味わいの雰囲気が変わってしまうのも、フォレノワールの面白さ、醍醐味なのかもしれません。
黒い森
キルシュという、尖がりがちな香りのインパクトが強いお酒も全体をシャープな印象にまとめる要素の一つに収まっています。当然チェリーの味わいありきでなくては成り立たないショコラですので、ブラックチョコレートのセンシティブな味わいを注意深く味わってくださいね。味わい深い黒い森へ。おいしさの迷路の出口を探さず、深く、深く、カカオの魔法に酔いしれてみてはいかがでしょうか?
ガトーフォレノワール(生ケーキ)も近日登場予定です。こちらも一緒に食べ比べていただくのも面白いかと思いますよ♪
スポンサーリンク