王道の桃のスイーツはフランスの伝統菓子から、名シェフからの継承です
ピーチメルバとは、バニラアイスクリームにコンポートしたピーチを添え、ラズベリーソースをかけたデザートのこと。濃厚なバニラと優しいピーチが魅惑的に香る仕上がりです。
ピーチメルバの名前は、近代フランス料理の父とよばれる偉大なシェフ、オーギュスト・エスコフィエが、オーストラリア出身の伝説的ソプラノ歌手、ネリー・メルバのために考案したという逸話に由来するといわれています。
テイクアウトでは到底成立しない、バニラアイスクリームの濃厚さは、あえて高脂肪で甘みを感じ得ることのできる九州産の原乳のものをセレクト。夏らしい軽い口どけにするために、卵黄のリッチなコクを排除しつつも、乳のコクで全体の満足度を高める組み立てに仕上げています。英語ではピーチメルバ(誕生がロンドンのサヴォイ・ホテルだった)ですが、フランス語ではペッシュメルバ。その味わいの妙をペルシュ
スタイルでお届けいたします。
桃とバニラとラズベリーの王道スイーツを仕上げる
スポンサーリンク
二種類のムースの仕込み
ミルキーなバニラの軽いムースは、ブルボンバニラの鞘を割いて、牛乳に入れて火にかけます。沸いたら火を止めてそのまま5分程度フタをして香りを抽出してから裏ごし、ゼラチンを加えてゲル化するまで冷却します。
泡立てた高脂肪タイプのホイップクリームを混ぜ合わせます。
ムースペッシュは二種類のピューレを合わせます。甘みのあるホワイトピーチ。そしてフランス産ペッシュドゥヴィーニュ。ペッシュドゥヴィーニュは酸味、そして赤みが強い品種。赤ワインの葡萄畑と同じ土壌で栽培が始まったとも言われ、赤ワインの色合いを思わせる、まさにフランスらしい色合いとも言えますね。
ペッシュドゥヴィーニュについての記事を貼り付けました(外部ブログより)
基本に忠実なイタリアンメレンゲ。糖度高めのしっかりとしたメレンゲを泡立てます。
ピューレ、メレンゲを合わせてから、ホイップクリームを混ぜ合わせて、ふんわりとしたムースに仕上げます。
バニラクリーム、ムースペッシュをそれぞれ絞り出します。クリームの質感が異なるため、クリームの境界が混ざることなくキチンと層になります。しぼり終えたら冷やし固めておきます。
湯むきした白桃、アーモンドリッチなパウンドをセットして、パンナコッタを流し入れて、2色のムースを配します。
湯むきした白桃は大ぶりに切り分け、食感でも、味わいにおいてもそのみずみずしさを十分に味わっていただけると思います。ラズベリーの酸味、グロゼイユのジュレのベビーピンクの色合いも涼を感じさせてくれますよ。
桃の焼き菓子で夏らしさを表現する
桃と紅茶のガトーコロンビエ
フレッシュバターと粉糖を擦り合わせて、卵黄を加えて混ぜ合わせます。
アッサムを抽出した、濃いめのミルクティーを加えて混ぜ合わせます。
バターと水分をあらかじめ乳化させておいてから。キチンとしたベースが出来上がったら、アーモンドパウダーを加えて混ぜ合わせます。
刻んだアプリコットを混ぜ込み、メレンゲを加えてなじませてから、小麦粉、コーンスターチを加えて
しっかりと混ぜ合わせます。ベーキングパウダーは加えずに、メレンゲの膨張力でふんわりと焼き上げます。生地の「締め」が甘いと、焼き上がりが縮んでしまったりしてしまうのです。
ペッシュメルバでも、この生地を流用しています。
マンケ型で焼き上げたケイクは、半分にスライスしてからホワイトチョコレートとバターを合わせたホイップクリームを絞り出してサンドします。
ピーチとラズベリーで仕込んだコンフィチュール(ジャム)を表面全体に塗り広げておきます。
ピーチのピューレ、ラズベリークランブル、グラニュー糖とペクチンで炊き上げたコンフィチュールです。ラズベリーは酸味のアクセントとして加えたものです。
粉糖と水を合わせた、グラスロー(glace l`eau)をケイク全体に塗り広げて、250度のオーブンでサッとローストします。ここで唯一、ガトーコロンビエらしさが垣間見えるわけでもあるのですが。。
ほんのりと桃色がかった、アーモンドの美味しさが堪能できる伝統的な古典菓子の一つです。台形というフォルムが愛らしくもあるのですが、白桃と言うものを、焼き菓子のフレーバーとして表現したかった。というのが考案のきっかけなのです。
もちろん桃の季節限定ではあるのですが、夏の暑い時期でも美味しく召し上がっていただけますよ。
スポンサーリンク