フランス産バターで仕込む、特別な日のためのバタークリームとキャラメルのケーキ
バタークリームのケーキ。
店頭販売の有無の問い合わせがしばしばあるので、折角ならこれを機に前々から構想としてアタマの有ったものをカタチにしようと思い、自宅用でちまちま食べるのではなく、ギフトアイテムとしてのニーズを睨んだワンホールでの提供をカタチに仕上げました。
キャラメルと燻製塩のバターサンド
バタークリームに使用するのは、フランス産のラヴィエット。自然な発酵香、キレの良い乳味がお気に入りです。正直行ってかなり高価なバターを使ったため、売価にも反映したのですが、ぜひこの美味しさについても知ってほしいとの想いが強かったのです。
そしてバタークリームに合わせる素材として、独特な香りを放つブナの香りのスモークソルトを加えて仕上げたドゥミセルも試したかったフレーバリング。
自家製ローマジパンと強めに焦がしたビターキャラメルを配合したビスキュイアマンドと交互に重ねて仕上げたレイヤードスタイルのケーキは、懐古的要素もきちんと見せつつ、バタークリームを知らない若い世代にもきちんとその美味しさを味わってもらう。そんな気概で製作に取り組んでみました。
一般的にイタリアンメレンゲを用いたサンドクリームとしては今でも汎用性の高いバタークリームですが、アングレーズクリームをプラスして仕込むバタークリームを見かける機会は皆無と言っても過言ではないでしょうか?
日持ちが短い、それが主な理由で作られる機会もなくなってしまったアングレーズベースのバタークリームですが、その美味しさを広く認知してもらいたいアツい想いを込めて発表です。
バタークリームに至るまでの経緯はブログでも綴っております。詳細はこちらから
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バタークリームの製法の詳細をお見せします
クレームオブールの製法
グラニュー糖、卵黄を擦り合わせ、熱した牛乳と一緒に煮て作るアングレーズクリームを準備します。(アングレーズクリームの詳細についてはお菓子づくりの基本を解説するペルシュ投稿から詳細をご覧いただけます。こちらから)
フランス産AOPバター、ラヴィエットを柔らかく戻しておき、裏ごして粗熱を取ったアングレーズを注ぎ入れて少しづつ乳化させていきます。
フランス産バターを取り入れて焼き上げたガレットデロワでもその美味しさについて触れています。こちらからどうぞ
アングレーズクリームは卵黄のレシチンも含まれるので、バターとの乳化は容易ですが、気を付けたいのが温度帯。
バターはその結晶が一度崩れてしまうと再びつながらない性質があります。バターの可塑性、融点にも注意を払いながらの作業を行います。
バターの可塑性はパウンドケーキづくりの製法の最も重要な要素でもあります。より詳細を記した投稿をご覧ください。こちらから
イタリアンメレンゲを仕込みます。
ふんわりとしたクリームに仕上げるために欠かせない、気泡のしっかりとしたメレンゲには適度に配合されたグラニュー糖のチカラも不可欠です。メレンゲの詳細についてはこちらから
味わいの決め手となるスモークソルトを加えます。
溶かし込むのではなく、香りが引き立つように合わせる直前に塩を加えるのがポイント。
メレンゲがしっかりと泡立ったら、アングレーズクリームと乳化させたバターを少しづつ加えて再度乳化させます。
メレンゲを構成する卵白は、水分が主体なので当然水と油で分離現象を引き起こすわけですが、糖分が加わることで乳化作業がスムーズに進むのです。
室温程度のメレンゲと合わせて行くこともスムーズな乳化作業に繋がっていくのです。
焼き上げたビスキュイキャラメルに、出来上がったバタークリームを塗り広げていきます。同じ作業を3回繰り返し、合計6層を組み上げるのです。以下にキャラメルビスキュイの製法をまとめたものを紹介します。
キャラメル風味のアーモンドスポンジの焼成
マジパンは電子レンジであらかじめ温めて柔らかくしておき、熱したキャラメルを注いで手早くミキサーで撹拌してダマにならない様に馴染ませていきます。
キャラメルときちんと馴染んだら、卵黄、全卵の順に加えて都度ローマジパンがダマにならないようにしながら泡立てていくのです。
通常、焼きものの生地に加えるのは溶かしバターが一般的ですが、ここでは焦がしたグラニュー糖と、熱した生クリームを注ぎ入れてキャラメルクリームを準備しておきます。
泡立ったマジパンのベース、メレンゲを合わせ、小麦粉、キャラメルクリームを順に合わせて天板に伸ばして190度のオーブンで焼成します。
バタークリームケーキの仕上げ
キャラメル ムー、フランス語で言うところのソフトキャラメルを仕込んで、飾りに使用します。
焦がしたグラニュー糖にバニラのさやと種を入れて香りを移した生クリームを注ぎ入れて、110度に熱したら
細かく刻んだバターを加えて、140度まで煮詰めます。煮詰める作業は少し時間がかかる(温度が上がりにくい)のですが、切り分けた時にダレることなく、それでいて口に入れると柔らかく溶ける食感は格別です。
少し塩気のある、ブロンドチョコレートにグリエしたアーモンドスライスを砕いて混ぜたものをケーキの側面に塗りつけて仕上げます。
冒頭で述べた通り、懐かしくもやさしい味わいと、バタークリームと思わせないほどの食感を目指して構成しました。
年間、数度は訪れるであろう、特別なシーンに合わせてクレームオブールの提案を続けていければと考えています。ご期待ください。
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