ペルシュのスティックケーキのお話し
今さらながら。というよりも、ここまで公に触れることが無かったスティックケーキについて、今回は紹介していきたいと思っています。
じゃあなぜしてこなかったのか?という深い意味は全くなく、逆に創業以来、ずっと焼き菓子部門ナンバーワンの座を不動のものとして守り続けてきた甘えでもあると思っている次第です。
創業当初から思い、実践し続けてきたことがあって、
選ぶ楽しみ
という、とてもシンプルなことです。最近は少し慣れましたが、”パティスリー”という「敷居」を感じさせる呼び名よりも、カジュアルな”ケーキ屋さん”願望が色濃く自分の根底にあるように思ってます。(故にシフォンケーキもプリンアラモードも不動のペルシュスタメンなわけです)
時折取材を受けたりもするのですが、その時の呼称について感じたことです。唐突な話ですみませんでした。
話を戻しますが、スティックケーキのフレーバーはレギュラーで12種類、季節限定の二種類で展開しています。常時十三種類をラインナップしているわけですが、需要期には数も種類も全くそろえることが出来ないことも多々あり、ご迷惑をおかけしてしまう場合もしばしばあります。そういった部分も鑑み、紹介することでかえってご迷惑をおかけしてしまわないかと不安な部分もあって投稿を控えてきたことも事実です。
茶系でどうしても地味な印象を与えてしまう焼き菓子に色味を与え、カジュアルで親しみ易いデザイン、手に取りやすい、ひと口のサイズの食べやすさなど、いろんなライク要素が詰まっているんだな。とうい原点回帰も含め、改めて焼くという、単純でありながらもとても奥の深いそのプロセスを紹介することで、手づくりだからこその量産が難しい部分なども見ていただけたら嬉しい限りです。
ペルシュのスティックケーキのつくり方
スティックケーキの仕込み
製法はフィナンシェ生地とほぼ同じです。
そもそもフィナンシェの生地の作り方を知らない。なんてことになりますから、その製法について触れていきたいと思います。
あらかじめ卵白とグラニュー糖を合わせておきます。
通常、フィナンシェ生地を作る際、「卵白のコシを切る」という表現がよくされます。
セオリー通りだと、ホイッパーを使って卵白が液状になるようにしっかりと混ぜるのですが、スティックケーキの場合、ゆっくりとゴムヘラで混ぜながら糖分が馴染むように混ぜるのです。この理由については後ほど解説します。
アーモンドパウダー、粉糖、薄力粉、強力粉を合わせたものを篩って、卵白の中に入れて混ぜ合わせていきます。
この時も混ぜ合わせていくだけです。前述通り「手合わせ」します。ミキサーも使用せず、ゆっくりじっくり合わせていくことがポイントです。
もったりした質感が残った状態です。
引き続いて、フィナンシェ生地の味の決め手とも言える、焦がしバター。ブールノワゼット(beurre noisette) はしばみ色に焦がしたバターを準備します。
製法についてですが、鍋にバターを入れて直火にかけて溶かし、さらに混ぜ続けることで主にバターの固形分が焦げていきます。焦がし具合は色合いの他に、香りでも判断します。一概に「こうあるべき」色合いがあるわけではなく、スティックケーキの場合、少し香ばしいな、という程度に留めています。スティックケーキに使用しているのは発酵バターです。
また、合わせる素材によって少し焦がし具合を変えることもしています。例えば抹茶は軽めに。バナナ、マンゴーの場合であれば甘ったるくならないよう、少し焦がし具合を加減したり。
焦げた部分を裏ごし終えた状態。容積の深いボウルに焦がしたバターを入れると、とても濃い色合いに写ります。
粉類を混ぜ終えた生地にバターを注ぎ入れて再びゆっくりとゴムヘラで混ぜ合わせます。
乳化のプロセス。というよりも生地をしっかりと馴染ませるため、2〜30分ほど冷蔵庫で休ませます。フィナンシェの場合は、乳化作業、主に生地温度(乳化温度)に注意しながら混ぜ終えるケースが多いです。
生地の混ぜ終わり。ガルニチュール(トッピング)を入れるときは、生地ができた時点で加えます。
抹茶、ココアパウダーは粉類とまとめて加えます。
休ませた生地を型に絞り出していきます。
ごま、アーモンドは絞った生地の上から全体に振り掛けていきます。
190°のコンベクションオーブンで25分。焼き上がりはふっくらと。フィナンシェの型は浅めの物が多いので焼成温度も違いますし、スティックケーキの型は幅も狭く深さもあるので、ゆっくりと窯伸びしていくことを想定しています。
また、食感の中で適度なもっちり感を出したい為に強力粉を配合しているので、過度に混ぜることが逆に膨らまない原因にもなったりします。
ベーキングパウダーを配合していない為、卵白のコシを完全に切ってしまうと、ふんわりとしたやさしい仕上がりにならないようです。
スティックケーキの価格について
スティックケーキは一本単位でお求めいただけます。一本、¥250でのご提供です。
10本入り、専用箱でのお渡しが¥2.750となっています。
スティックケーキをオンラインでもお求めいただけます。こちらから
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