第2章 『Growth of the tree』 ~成長~

~ Prologue ~

自身の菓子作りにおいて最大のテーマは「血の通った」、美味しさ以上に何かが伝わる様な、自分が思いを込めて作ったものであるアイデンティティを表現するひとつの手法である。
血が通う。イコール、当然の事ながら「熱を帯びる」訳でもある。

ココロに火を灯す、熱気を帯びる様をたとえ、「ココロが焦がれる」キャラメルを主体に製作した4粒のプラリーン。

自分自身の誕生から成長、そして「次へと」続く様を一本の大樹に例えた6粒の「a tree」。

感情、情景、感覚をアロマテラピー、カラーセラピー、果実や食材、作り手の主観も交えて表現しました。
焦がれる情景を第一章、「light on my fire」、成長を表す情景を第二章、「growth of the tree」とタイトル付けし、計10粒の特別なショコラを作製しました。

内的及び外的感情に訴えかける、今自分が表現したいことをプラリーンという小さなチョコレートの一粒に凝縮しました。

こんなショコラをつくりたかった。
アロマにこんな効能があるんだ。
などと、いろんな想いをシェア出来ればいいな。と思っております。
もちろん単純にショコラの味わいを堪能していただければ。とも思います。


typ4_1

A seed -種-

 

さなぎ 蛹。             写真 2014-02-09 17 18 10

植物においては種子は生命の源。
芽を出し、太陽の下へ。 時同じくして根を張る。

自身を定義付ける事が地に足がつくという事だろうか?


大いなる向上心こそが思い描く自身の姿をカタチどるのだろうか?

種子は偉大にも見える。 殻の中でひたすらに時が来るのを待つ。
ひたすらに。

我々が過ごした胎内が種子とすれば
あまりに甘美な時を過ごしていたであろう。

今となっては知り得ないその「殻」の中の
あたたかなぬくもり、香り、心地よさを
エルダーベリーのアロマを加えて表現してみた。

エルダーフラワーが世界最古のハーブとも言われ、
「全ての初まり」もニュアンスさせた。

ドミニカカカオ、エクアドルカカオをブレンドしたほろ苦く、力強いショコラノワール。

ショコラの奥に潜むフローラルなアロマに微かな光を感じてもらえるだろうか?

甘美なる胎内をイメージしてみてはどうだろうか?

 

 

 

 

 


typ4_2

Green -若葉-

 

人との関係性と自分の真実を信頼する。    写真 2014-02-09 18 17 52

感じるためのスペース。

芽を出し、葉を脈々と。

 

生命のエネルギー。
成長。

光を与える陽が母とすれば、私は子です。陽の光を取り入れ、さらなる成果を求め広がる。

若葉の淡い緑は無垢さも力強さも備え。

希望を宿す香り、愛されるネロリのアロマ。
レモンバーベナのフレッシュなさわやかなグリーンの香り。
上向きに香る芳香にビターオレンジのはつらつとした元気な香りを加えて。

香りの奥に響く、やさしいスイートなオレンジフラワーがネロリの香り。
見守られ、大きく大きく育つ。

ビターオレンジとレモンバーベナのパートドゥフリュイ、ベネズエラカカオの

ミルクチョコレートとネロリのアロマを加えたガナッシュで構成。


typ4_3

Flower -花-

 

植物では生殖器系。                                         写真 2014-02-08 19 54 16
受粉の準備ができたことを知らせるため、
つぼみから開花へ向けて香りをどんどん強くする。

動くことのできない植物たちのあの手この手。


 狂おしくも本能をくすぐられた虫たちが、
花の香りのもとへと集まってくる。

「開花」、人間の場合、

 

「才能の開花」だとか

「可能性の開花」など
能力ののびゆく様を揶揄した表現で使われることが多いかと。

もっと動物的でいいかと思う。
だれかに見られたい自分をアピールしたい。
自己顕示欲として。

香りの王、キングと称されるジャスミン。
濃厚で官能的なフローラルは動物的なアロマを含み
自己主張を兼ね備えた「花」。

一方で、
優しく見守られたい、愛されたい、女性的な優しさを持つ「花」。
美しさ、愛らしさ、スイートでロマンティックなさまを
ネロリ、オレンジフラワーで表現。

ピーチの愛でたさ、⇒愛らしさと
黄金色の果実アプリコットの
小ぶりながら酸味の自己主張を忘れないさまも加えて。

フローラルなアロマを含むエクアドル産ナシオナル種のカカオとジャスミンのガナッシュと、

重厚なアロマのコスタリカ産 カカオに甘酸っぱいアプリコットとピーチのフルーティな香りを

組み合わせた二層のブラックチョコレートガナッシュ。

 

ココロに咲く花は昼夜問わず黄色(こんじき)であり、
陽の光を浴びる一輪の花、月光に映える花である。
可能性の開花は何時のときにも訪れる。
そう願いをこめて。


typ4_4

Fruit  -果実-

成「果」が「実」る。                                 写真 2014-02-08 19 31 04

 

成功というひとつの結果を「果実」と表現するが、

植物に於いては「種 」を遺す重要なプロセス。
種を包み、栄養を蓄えた、新しい殻。ともいえる。

ニンゲンに於いても、成果は新たな挑戦への第一歩。

より大きな成果のためにと工夫を凝らす。おおきな果実を実らすために。

バラの香りは香りの女王、ローズ。

300以上もの複雑な成分で作られていて、深みのある香りと共にその時の状態に

合わせながら心に平安と安息を与えてくれる。

ベルガモット。
ベルガモットが心に与える効果と効能は、気持ちが落ち込んだときにリフレッシュさせてくれること。

 

またストレスを感じているときや、何かと苛立ちを感じるときには、気持ちを落ち着かせる作用が。

人それぞれに成果のおおきさや意味合い、
価値観があり
それらをひとつのものさしでは計り知れない。

しかし比べる必要も無いでしょう。

間違いないのは、ココロの安定もなく、
実りあるおおきな果実を実らすことはできないということだ。

無垢な真っ白いショコラにベルガモット果汁とブルガリアローズのアロマを加えたクリーミーなガナッシュ。


typ4_5

a big tree   -大樹-

 

太く、おおきく、空を目指し                                               写真 2014-02-08 19 48 45
両手いっぱいに幹を広げ

ありったけを受け容れるさま。優しさに溢れるイメージ。

サイプレス
ヒノキ科の針葉樹。
サイプレスは、樹高25m~40mにもなる木ですが、


 どんなに風が吹き荒れても、冷たい雨にさらされても
ただただまっすぐに、上に伸びていきます。
変化を受け容れ、流れに身を任せながら、自分を信じ、
困難に目を背けずに成長し、
この世に生まれ持った自分だけのかけがえのない【使命】に、
命を輝かせて生きるしなやかで強い心。
サイプレスの姿は、そんな芯の通った心へと導いてくれる。

心の中に、強い風が吹き荒れた時、
どうぞ目を閉じて、サイプレスの香りを静かに感じてみてください。
ただまっすぐに天に向かって成長するサイプレスは
人生にとっての様々な困難を静かに受け容れる。

アロマにおいても真っ直ぐに突き抜ける独特の香り。
捉え方によっては愚直なまでにストレートなアロマに、プロヴァンスはちみつの軽やかなトーン、松の樹果、松の実。

タンザニアのカカオ豆に感じる、華やかなノートをサイプレスと同系統のアロマ、
モミの木のリキュールで香り付け、松の実プラリネクリスピーとのビクーシュに。

真っ直ぐにひたすらに、、、疲れても。
側には優しさ溢れる何かに気付かされたり。


typ4_6

Fallen leaves      –  落葉 –

 

次第に枯れ、地面に落ちること。                                            写真 2014-01-25 2 58 38

この響きだけでは完全に負のイメージだが。

しかし、纏っていたものを一度脱ぎ去り、新しい始まりに向けて今一度準備を整えると考えてみるとどうだろう。

ニンゲンは脱ぎ去る、というプロセスをおろそかにし、何かと色んなものをまとい続ける。

落ち葉は土に還り、また新たな栄養として循環する。

歳を重ね、知識や教養、常識や良識など様々な「葉」を伸ばし続けていくうちにだんだん疲れていくのか

母なる大地の香り、カモミール。

リンゴにも似た果実感溢れる香り、独特のスパイシーさがココロの奥に余韻を落とし込む。

背負い込むことよりも、脱ぎ捨てる。

エクアドルの広大な森で育ったナシオナル種カカオ。カモミールローマン。シンプルに、余計なものは「脱ぎ捨て」構成したガナッシュ。

今一度、「ゆりかご」に揺られる安らぎを思い出して
安息のひとときを。