産地別コーヒー豆で味わうコーヒーゼリーとコーヒーブリュレのスイーツ
コーヒーゼリー
ゼリーのフレーバーの代表としてもすっかり定着している、おなじみのあじわいを徹底的に掘り下げて、こだわりぬいてみようと思い、まずは自分の目指す味わいをちゃんと表現することから見直しました。
濃く抽出されたアイスコーヒーを、それこそキンキンに冷えた状態で提供され、一緒にサーブされた黒蜜シロップを入れて飲む真夏の暑い午後。アイスコーヒーを飲むことはほとんどないのですが、たまたま試してみた「苦手な」アイスコーヒーの味わいをコーヒーゼリーに再現してみたい。これがこのお菓子の出発点です。
そしてケーキ屋らしいまとめ方、つまりはコーヒーゼリーにはホイップクリームを添えて。の王道を越える必要があります。濃厚な味わいのクレームブリュレを、ここでもコーヒー豆と乳の相性を見据えた最上の選択を模索しました。
コーヒー豆のセレクトで尽力いただいた、kamei coffee roasters、竹森氏の解説も後半に詳しく交え、水出しジュレドカフェを徹底解説します!
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ドリップせずに作るコーヒーゼリー
ドリッパーでコーヒーを抽出せず、水出し製法を用いて、コーヒーゼリーを作ります。
コーヒー豆はインドネシア、エチオピアのブレンドをグラインダーで挽いた物を、パックに入れます。
黒糖よりもよりサトウキビの風味が際立つ、ミュスコバドシュガー、グラニュー糖、バッグに入れたコーヒー豆をミネラルウォーターに漬け込み、冷蔵庫で一晩おきます。
翌日、豆の入ったバッグは引き出し
抽出液と、あらかじめ戻しておいたゼラチン液を混ぜ合わせます。
加熱処理はゼラチン液のみ行います。
ゆっくり抽出されたコーヒーは、ドリッパーで抽出されたそれとは違い、香りは穏やかですが、アクが出ないなめらかな舌触りが特徴です。この特性を活かし、極力クリアな味わいを大切に仕上げます。
そして、加熱で煮溶かすことがほとんどの黒糖、ミュスコバドシュガーも同様ですが、水に漬け込んでおくことで、雑味のない甘さも感じ取ることができるのです。
サトウキビの味わいを引き立たせるため、ラム酒を加えます。
コーヒーの風味も損なうことなく、エスプレッソリキュールを加えて、冷たいジュレにもはっきりとした風味のアクセントを加えることができるのが、リキュールの役目でもあるのです。
細かい網目で裏ごし、挽いた豆を裏ごします。
氷水で出来上がったゼリーを冷やし、ゲル化を促して完成です。
クレームブリュレカフェを仕込む
水出しのコーヒーゼリー同様、牛乳からじっくり香りを抽出する製法で仕込むのがコーヒーのクレームブリュレへのこだわり。
冷たい牛乳を、コーヒービーンに注ぎ入れます。
スティックミキサーで豆を荒く砕いて、そのまま一晩冷蔵庫で休ませます。
翌日、砕いた豆ごと牛乳を温めてから、底に沈んだ豆は加えずに
卵黄、生クリーム、グラニュー糖を加えて再び温めてプリン生地を完成させます。
ここで使用した豆は、ガテマラとコロンビアをブレンドした、中米の豆です。
フレーバーとしての力強さを余すことなく引き出すには、やはり一晩かけてしっかりと牛乳に浸すことではないかと思い、この製法を採用しました。
香りという観点からみれば、アフリカのビーンと比べるとやや劣りがちかもしれませんが、アーモンドやピーカンナッツのような種子系の味わいを感じさせる中米の豆は、ミルクなどの乳と組み合わせても、その味わいを如何なく発揮できる力強さが信条。
コーヒー豆の違いをひとつのスイーツで楽しむ
ゲル化したジュレをブリュレの上に流し入れて、冷蔵庫でさらに冷やして口どけ豊かなコーヒーゼリーに仕上がるよう、しっかりと冷やし固めます。
コーヒーのジュレの上には、テイストスプーンに添えた、バニラミルクのソースを。球体状に皮膜しているので、まずはしっかりとしたオセアニアらしいニュアンスを味わってください。
スモーキーなロースト香、そしてサトウキビの甘みと香りを加えることで、どっしりとしたボディのある重厚なフレーバーが重いトーンとして味わいをより豊かなものに感じさせてくれます。まさに樽で熟成されたかのようなラム酒にも似た深みのある味わいなのです。
雑味を取り除くことで感じられる、コーヒーの豊かなフレーバー。香りで楽しむ温かいコーヒーとは違い、味わいというものを大切に仕上げました。乳味との交わりで感じる味わいの変化も一緒に楽しんでいただければと思います。
コーヒー焙煎士に聞く産地別コーヒー豆のこだわり
水出しコーヒー・黒糖に合うコーヒーとして…素直に水出しコーヒーにするコーヒーならブラジルと何かを合わせたコーヒーで良かったのかもしれません。事実、ブラジルのナチュラル精製されたコーヒーも候補として提案させていただきました。
ただ、「水出しかつ黒糖に合うコーヒー」という二つの条件に合うことだったので、まずはオセアニアのコーヒーだなーと感じました。そして、上記の条件に合わせるなら、もしブラジルを使うとしてもナチュラル精製されたものだと頭に浮かびました。
クリーンな感じより、くぐもった感じのコーヒー、決して雑味があるということではなく、ボディが強いコーヒー。
エチオピア・ホワイトナイル・ナチュラル
ナチュラルというのは、コーヒー豆の精製方法の一つ。コーヒーはコーヒーの実の種を煎って飲んでいる。コーヒーの実を例えると、サクランボみたいになっている。コーヒーチェリー(果肉)のまま天日干しして脱穀したコーヒー。果肉が種の周りについた状態で乾燥させてから、脱穀している。そのため、独特な香りや味がする。ホワイトナイル・ナチュラルはベリー類のような香りが楽しめるコーヒーに仕上がっている。
インドネシア・ティガブルー
インドネシアのスマトラ島で収穫、精製されたコーヒー。スマトラ島(ここの一部の地区で収穫されたコーヒーをマンデリンという)で収穫されるコーヒーに共通した独特な味わいを持っている。レモングラスのような爽やかさがふっと立ち上がった後にどっしりとボディーが残るスパイス類やハーブを思いおこさせるコーヒー。
乳と合わせるコーヒーとしてコーヒーらしいコーヒーを提案。単純に合わせるならブラジルかなと思いました。それだと面白くないので、乳と合わせたときに香りがアクセントとして残るように、香りが印象なコーヒーを選び提案しました。
一つが、中米の国、グアテマラにあるロス・セラヘス農園。農園が2000m台の高地にありその特徴から「雲のかたまり」という意味の名前「ロス・セラヘス」がつけられたという。最初、この豆を試飲した時、兎に角香りが印象に残った。ココアの香りの中にフルーツの甘い香りが漂うコーヒー。適度な酸とコーヒーらしさが残る上品な味わい。
もう一つは、南米コロンビアのラ・プリマヴェーラ。個人的?な勝手な印象でコロンビアはオレンジ!と思い込んでいるとおり、明るい酸味と甘さが同居するコーヒー。果物に例えるなら、オレンジ(そこまで酸っぱくはないです)。深く焙煎しても甘さが残るコーヒーに仕上がっていて、カメイ珈琲店のオリジナルドリップパックのブレンドにも使っています。
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